Town & Gown構想と連携した課題探究型経験学習による多文化共修教育システムの構築
広島大学 大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業

令和7年度 地域課題共修方法論 全8回の講義を実施しました

                                                                                             

広島大学では、「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業」の一環として、令和7年6月11日より「地域課題共修方法論」(全8回)を開講しました。講義には日本人学生4名と留学生1名が参加し、多様な文化的背景を持つ参加者が協働することにより、地域の課題に新しい解決策を探究する方法論について実践的な学びを展開しました。

本講義は、小松崎俊作特任准教授(IDEC国際連携機構)を担当講師とし、PBL(Project-Based Learning:課題解決型学習)の手法をベースに、課題の発見・構造化・問いの立て方・共創のデザインに重点を置いた内容で構成されました。

講義初回では、EIBL(Experiential and Inquiry Based Learning:経験と探究に基づく学習)の基本概念や「地域課題とは何か」に関する基礎的な理解を深める導入編が展開され、第2回では外国人留学生へのインタビューを通して、「他者の視点」から課題を捉える手法に取り組みました。

中盤以降の回では、「ニーズとシーズの組み合わせ」「バイアス・ブレイキング」「アナロジー思考」など、地域課題に対するアイデア創出を支える複数の方法論を段階的に学びました。また、過去の取組事例をもとに、多文化的な視点で地域課題を捉える試みや、課題定義に関するアプローチについても扱われました。

そして、最終回となる第8回では、各学生がそれぞれに設定した課題に対して、独自の探究と共創のプロセスを経て取り組んだ成果を、プレゼンテーション形式で発表しました。

最終回プレゼンテーションでは、主に以下のテーマが取り上げられました。

・農業の担い手不足 × 価値観の再設計

・林業と若者のライフスタイル再構築

・医療機器とエネルギー課題

・地方創生 × 感情からのアプローチ

各学生の発表には、共通して「共感」や「視点の転換(Value Shift)」の姿勢が見られ、従来の正解志向型アプローチとは異なる、探究的で柔軟な思考が展開されました。

講義の締めくくりとして、小松崎特任准教授より「正解を出すことよりも、問いを深める力や、他者との対話を通じて仮説を練る姿勢が重要である」とのメッセージが伝えられ、本講義がもたらした知的な広がりと、今後のさらなる展開への期待が語られました。

なお、第3タームには実践編にあたる「地域課題共修演習」が開講される予定であり、本講義で得た学びを、実際の地域の現場へと展開する機会が提供されます。 本講義を通じて、学生たちは自身の関心に根ざした「問い」を言語化・構造化し、異なる文化的背景を持つ他者と協働しながら、新たな価値を創造する力を培いました。今後も本学では、こうした教育を通じて、学生の社会的関心と課題解決力を高める取り組みを継続的に推進していきます。

 

第1回/講義の様子(ニーズ×シーズ) 

 

第1回/ブレインストーミングの様子(1)

 

第1回/ブレインストーミングの様子(2) 

 

第2回/講義の様子(バイアス・ブレイキング)

 

第2回/グループディスカッションの様子(1)

 

第2回/グループディスカッションの様子(2)

 

第2回/グループディスカッションの様子(3)

 

第8回/最終プレゼンテーションの様子(1)

 

第8回/最終プレゼンテーションの様子(2)   

 

第8回/Miroで可視化されたアイデア